大仏寺・洋人街


【老君洞への行き方】

老君洞は、南山と南坪を結ぶバスの路線上にあります。

筆者は較場口から郵電大学行きの346番バスに乗ったのですが、事前に調べた路線図では展望台のある「一果樹」というバス停から下車してすぐとなっていたものの、バスの中に掲示されていた路線図には記載が無く、実際にバス停もありませんでしたので、やむ無く一果樹を通過した次の四中というバス停で下車し、三輪タクシー(5元)で山道を戻りました。

四中からは歩いても10分程度ですが、登坂なので、体力に自信の無い方は三輪タクシーの利用をお勧めします。この周辺には三輪タクシーは非常に多く走っていますので、それほど捕まえるには困らないかと思います。戻りは四中のバス停近くまで行けば普通のタクシーも捕まると思います。

尚、後日、現地の方に聞いたところ、観光地なので、バス停は無くとも運転手さんに言えば、バスを停めてくれる筈、とのことでしたが、実際にどうなのかは試していないので不明です。

老君洞は、入口の東大門を抜けると、暫くは山沿いの道を進みますが、その後はほぼ只管左写真のような急な階段を登り続けることとなります。

従いまして、脚力が無い方、膝などに故障を抱えている方は、少し時間に余裕を持って観光された方が宜しいかと思います。


【老君洞】

老君洞は道教の寺院です(正確には、道教寺院は中国語では寺とは言わず、道観と言います)。

創建は漢朝から三国時代と言われていますが、正式に道観として成立したのは隋末〜唐初、当初は広化寺という仏教寺院だったものが、明万暦9年(1581年)に李老君という方によって道観となり、名前を太極宮と変更したものです。

今日一般的に呼ばれている老君洞は、この李老君という道観の開祖から取った俗称です。

「老君洞石刻和第記」は1992年に重慶市文物保護単位に指定されていますが、個人的には十分国家保護単位に値すると思います。

主な建築物は「玄」の字を象って山の斜面に建てられています。

アップダウンが激しく、道も複雑に入り混じっていますが、筆者お勧めの散歩ルートは右写真の赤矢印です(クリックすると拡大します)。

以下にこの矢印の順番に沿って主な見所をご紹介します。

<東大門>

展望台から更にすこし上ったところにある老君洞の入口です。
他にも門は幾つかありますが、通常のルートで向かわれた場合はこの門より老君洞に入ることになると思います。

上部の額には「老君洞道観」「道教川東第一叢林」と書かれています。
この門の右手にチケット売り場があります。

東大門正面の階段を10分ほど歩くと左手へ急速に登っていく階段があり、この階段を上ると頂上へ直接続いているのですが、そちらへは行かず道なりに先に進むと三清大殿に出ます。

<三清殿>

三清殿は老君洞の正殿です。明代成化16年(1480年)に建設されたのが始まりで、中央に太上老君、左右に南極仙翁と北極紫微大帝の三清道租が祀られています。

三清殿から山を見上げると、最も高い場所にある玉皇殿も仰ぎ見ることが出来ます(左写真。クリックすると拡大します)。

尚、中にはレストラン(というよりもお寺の食堂。仏教では無いので精進料理なのかどうかは不明)もあります。

<西大門>

三清殿の更に先にあるのが西大門です。

東大門よりも明らかに立派な造りなので、恐らく東大門に自動車道が通るまでは、こちらの方が正門だったのではないか、と推測されます。

三清大殿の右手の階段を上っていくと明代石刻があります。

<明代石刻>

明代石刻は左写真(クリックすると拡大します)の通り、非常に大きな一枚岩に彫り込まれています。

現地には特段の説明板は無かったのですが、調べたところでは「慈航真人救14難」という故事が彫られているとのこと。慈航真人とは元々は道教の女神ですが、民間信仰では仏教と道教が混ざり合った際に観音菩薩と同一化されています。

明代石刻に彫り込まれている石刻は一つ一つが非常に美しく、また丁寧に彫られており、この種の芸術がお好きな方は見ていて飽きないと思います。

一部を左に掲載しますが、生き生きとした表情や当時の生活様式まで伝わってくる非常に優れた石刻だと思います。

<玄武殿・慈航殿・祖師殿>

明代石刻の横にある階段を上っていくと、玄武殿、慈航殿、祖師殿などの建物が並ぶ場所に出ます。

このうち玄武殿は老君洞の中でも最古の御堂で、1700年前に当初は治水の英雄とも言われる古代神の大禹を奉っていましたが、唐代開元年間に名前を老君洞とした際に、太上老君を奉るようになり、清咸豊11年からは真武祖師を奉っています。

現存する玄武殿は1997年に従来の古塗洞の前に再建したものです。

このあたりには小さな祠や洞窟内の塑像など、細かい見所が多数ありますので、お時間のある方はゆっくりと寄り道しながら見て回ると良いかと思います。

<玉皇殿>

祖師殿の右側から細い階段を上っていくと、老君洞の最も高い位置にある建物、玉皇殿に辿り着きます。

建物の裏側に階段があり、最上階まで登ることが出来ます。
階段の手前には各階に壁画もあります。

然しこの場所の最大の見所は、なんといっても解放碑方面の景色です。
冬の重慶は霧で真っ白なことが多いのですが、非常に珍しく1月に好天に恵まれた際の写真を以下に掲載します(何れもクリックすると拡大します)。


個人的にはこの景色を見るだけでも十分ここに来る価値はあると思っています。

<南天門>

玉皇殿を抜けて東大門方向へ進むと南天門に到着します。
(東大門のところでご紹介した、東大門から入って10分ほどの、左方向へとひたすら上へと続く階段を上った場合はここに辿り着きます。)

写真では判り難いですが、この門へは細くて急な階段が続いており注意が必要です。
然し振り返ると解放碑方向の美しい景色が広がっている為、写真のように振り返っている人が多数います。

<磨刀嶺長廊>

南天門の横に殆ど気づかない裏路地のような道があります。

この道を登っていくと老君洞山頂(といっても石のベンチがあるのみ)を抜けて磨刀嶺長廊と呼ばれる細長い下り道に続いています。

その名の通り、山の嶺を道にしているもので、後半はとにかく下り階段が続きます。
特に東大門へと続く最後の階段は非常に急なので、脇にある鉄鎖を確り握って降りて下さい。

以上のルートで再び東大門に戻ってくることが出来ます。

ゆっくり目に歩いて1時間程度、見所をじっくり見ながらであれば2時間程度です。
兎に角、階段のアップダウンが続く観光地ですので、くれぐれも歩き易い服装と靴でお越しください。


下は、黄葛古道を散歩した際に撮影した老君洞の写真です。
山の中に非常に大きく玉皇殿がそびえ立っている様子が見えます。
空気が澄んでいる日には渝中区からも見ることが出来ます。


老君洞入場料:10元


(2013年3月作成)
(2015年2月改定)