大仏寺・洋人街


【洪崖洞】


洪崖洞窟は重慶市の中心部、渝中区の嘉陵江沿いにある重慶を代表する観光地です。

外観は巴渝(現在の重慶)エリアの伝統建築である「吊脚楼」の木造建築風ですが、実際には2005年に建てられた近代建築です。

嘉陵江沿の崖に這うように長さ600mに亘って建築されており、建築総面積6万uの非常に大きなビルとなっています。

内部は商業施設となっており、1階〜3階は土産物、4階以上はレストラン・ホテルなどが主に配置されています。

この建物の最大の特徴は、1階と11階が何れも道路に面しているという点です。

重慶は山城とも呼ばれる立体的な街であり、ビルの表と裏で道路に面している階数が異なることは全く珍しくありませんが、この洪崖洞はその典型であり、嘉陵江側(北側)は1階で嘉陵江濱江路に、半島中心部側(南側)は11階で滄白路に面しています。

初めて訪れる方は恐らく中心部の11階から入るケースが多いかと思いますが、お時間があればぜひ1階まで降りて頂き、嘉陵江濱江路から見上げて頂くと、この建築の特徴と美しさを感じて頂けるのではないかと思います。

尚、内部の商業施設のうち低層階のお土産物屋は18時頃には閉店するところが多いので、ご注意ください。

<吊脚楼>

苗族・壮族・土家族等の伝統的民家建築であり、、重慶〜貴州エリアに中心的に見られます。

山や崖に沿って建てられているのが特徴で、漢民族居住地であっても中西部の古鎮には多く見られる建築です(右写真は重慶・貴州・四川の省境に位置する赤水丙安古鎮にある吊脚楼)。


【洪崖洞の歴史】

旧重慶城には「九開八閉」と呼ばれた17の城門がありましたが、現在の洪崖洞の場所には、洪崖門という閉門(通常は閉められて使われない門)がありました。

明代末期には洪崖門上に大砲が設置され、この周辺は砲台街とも呼ばれていましたが、洪崖門の下に洞窟があったことから、その後、この地は現在の地名である洪崖洞と呼ばれるようになりました。

洪崖洞は嘉陵江へと出る水運港として長らく使われていましたが、戦後に入り徐々に水運が衰退、それに伴いこの地に建てられていた吊脚楼も打ち捨てられ、危険な状態になりつつあったことから、大規模な吊脚楼の修復改築工事が決定されました。

1995年に古い吊足楼の移転作業が始まり、2001年より建築開始、2005年に現在見ることの出来る洪崖洞が完成することとなります。

撤去される前の古い洪崖洞吊脚楼の様子は、洪崖洞1階の嘉陵江方向へ出たところに若干簡単な写真パネル展示がありますので、ご関心のある方はお読み頂ければと思います。


(2014年5月)