虹口を歩く(1)


【龍頭寺の歩き方】


江北方面を車で通りますと、「龍頭寺公園」「龍頭寺バスターミナル」などの看板を見掛けたことがある方も多いかと思います。

重慶では、「上清寺」のように地名には寺院が残っていても現在は何もない場所もあるのですが、この龍頭寺は名前の通りのお寺が現存しています。

地下鉄6号線で黄泥傍(中国語漢字は土ヘン)駅を下車、黄龍路を北へ向かって2本目の龍頭路を右折、その後は只管真っ直ぐ道なりに進めば龍頭寺に到着します。

但し、寺院周辺はマンション建築ラッシュの為、筆者が訪れた2014年1月時点では、右上写真の通り参道は非常に狭い状態となっていました。

駅からは徒歩僅か約15分ですが、細い道とアップダウンが続きますので、歩き易い靴で行かれることをお勧めします。

黄泥傍へは解放碑・小什字からのバスもありますので、解放碑周辺にお住いの方はバスで行かれても便利だと思います。

尚、地下鉄3号線には龍頭寺という駅がありますが、3号線の場合、最寄駅は唐家院子です。
龍頭寺駅は唐家院子から3駅北にありますが、なぜ龍頭寺駅がこの場所になってしまったのか、地元の人に聞いてみたものの明確な答えは得られませんでした。

後述の通りかつてこの寺院が広大な規模を誇っていた時代には、龍頭寺の管轄エリアだったのかもしれません。

この一帯は、市中心部繁華街の一つである観音橋に近いこともあり、現在急速なマンション建設が進んでいます。龍頭寺の周辺も完全に高層マンションの谷間となっている為に判り難いのですが、少し遠くから眺めてみますと、龍頭寺は小高い丘の上にあり、当時、信者は下から見上げるように龍頭寺を仰いでいたのではないかと想像されます。


【龍頭寺】

山門の手前右手には元チケット売り場の窓口跡が残っていますが、現在は山門を抜けて右手の線香売り場でチケットを販売しています(2元、2014年1月現在)。

正確な創建記録は残っていませんが、寺に伝わる仏像には明朝正徳16年(1521年)造との記載があったことから、遅くともその頃には龍頭寺は存在していたようです。

境内にあった説明板によりますと、解放前の龍頭寺の規模は非常に大きく、三階建の蔵経楼、24天を奉る玉皇殿、観音殿、18羅漢を奉る仏祖殿、幽冥王を奉る十殿、弥勒菩薩を奉る山門殿など多くの建築物があり、広大な池や花園も備えていたとのこと。

然し乍らこの寺院も他と同様、文革で徹底的に破壊されてしまい、2005年に国家関係部門の承認を経て漸く再建されました。

今日見ることの出来るのは山門を入って最初に目にすることの出来る観音殿(左上写真)、その上部裏側を入口とする燃灯殿、そして最奥部にある念仏堂(右写真)の3棟(実際の建築物としては2棟)のみとなっています。

再建された殿堂は非常に立派で、筆者が訪れた寺院の中では、華岩寺に次ぐ規模だと思います。

また小高い丘の上に建っている為、マンション建設ラッシュで発展する重慶を上から眺めることも出来ますので、軽い散歩がてらに訪れてみるのも良いと思います。



(2014年1月)