嘉陽小火車・芭石鉄路


【李庄古鎮の歩き方】

李庄古鎮は高級白酒の代表銘柄「五粮液」の産地、四川省宜濱市にあります(右写真は高速道路宜濱出口あった巨大な五粮液の看板)。

宜濱市は重慶と成都のほぼ中間点に位置しており、何れの街からも高速道路で約4時間程度です。

李庄古鎮は高速道路宜濱出口から直線距離で僅か4km程度の場所にあるのですが、長江を渡らなければならないため一旦宜濱の市街地まで行き、そこで長江を渡って対岸を戻ってくることになります。

筆者が訪れた2015年2月時点では道路が未整備なところも多く、渋滞もあって宜濱出口から古鎮まで1時間近くかかりましたが、徐々に道路も整備されつつありましたので、何れは高速道路からもっと短い時間で辿り着けるようになるのかもしれません。

宜濱市の中心部から李庄行の路線バスが走っていましたので、宜濱市まで長距離バスか列車で移動して乗り換えれば、公共交通機関でも訪れることも可能です。

李庄古鎮の駐車場にはツーリストセンターがあり、この右手にチケット売り場があります(左上写真)。
村に入ること自体は無料ですが、幾つかの建物に入るにはチケットが必要です。

チケット:20元 (販売時間8:30〜17:30)
ガイド:60元〜 (人数により異なる、8:30〜18:00)


【李庄古鎮】

李庄古鎮は長江上流南岸にあり、「万里長江第一鎮」とも呼ばれ、2005年には全国歴史文化名鎮、2008年には全国環境優美郷鎮、国家4A級景区に指定されています。

李庄は梁代の大同6年(西暦540年)に六同郡として設置されたのがその始まりとされる1500年近い歴史を有する古鎮です。

また戦時中には同済大学が戦火を逃れて李庄に移転していました。

然しそうした歴史以上に、この街を一躍有名にしたのは、李庄白肉と呼ばれる薄切り豚肉料理です。

四川料理定番の前菜に蒜泥白肉という薄切り豚肉のニンニク和えがありますが、李庄白肉はニンニクではなく辣醤につけて頂きます。

冒頭にも書きましたが宜濱は高級白酒の代表銘柄「五粮液」の産地でもあることから、この村でも独自の白酒が造られています。

ツーリストセンターから長江沿いの道を進むと、造り酒屋があり、白酒製造の様子を見ることが出来ます。

<ミニ知識:白酒の造り方>

中国を代表する白酒は、高粱を原料とした蒸留酒です。中国のほぼ全土で夫々の土地の白酒が製造されており、お酒が好きな方は地白酒を飲み比べるのも旅の楽しみの一つです。

その製造方法は各地方によって多種多様ですが、基本的な造り方は以下の通りです。

(1)高粱を蒸して麹を混ぜる
(2)発酵釜に入れて発酵させる(右上写真の奥に見えるのが発酵釜)
(3)発酵が進んだところで窯から出す(右下写真は掘り出されて発酵熱で湯気を出している様子)
(4)蒸留(蒸留後、再度(1)に混ぜて作業を繰り返す場合もあり)
(5)壺に入れて熟成


以下に李庄古鎮の主な見所をご紹介します。

<東獄廟>

ツーリストセンター方面から長江沿いの道を入ってすぐの場所にあります。
創建は明代正徳年間、現在の建物は清道光7年(1827年)に再建されたものです。

戦時中は同済大学工学院がこの場所に移転していたことから、2006年6月には東獄廟の前の広場に同済記念碑も建てられています。

筆者が訪れた際には残念乍ら修繕中で見学出来ませんでした。

<張家祠>

東獄廟から更に先に進んだところにある古建築です。
清道光9年(1839年)建設、敷地面積4千uの中に四合院形式を中心とした建物が配置されています。

戦時中は中央博物院がこの場所に移転していました。

この中では「李庄草龍舞」という四川省非物質文化遺産にも指定されている伝統芸能が上演されています(右写真)。

(上演時間:祝祭日10:00〜12:00)

<羊街>

張家祠の先にある路地です。
李庄古鎮の中でも最も古い建築が残されている通りの一つで、古来、牛や羊の取引をこの場所で行っていたことからこの名が付きました。

左上写真(クリックすると拡大します)の左下に小さな目盛がありますが、これは長江が氾濫した際の計測用でした。
増水期には街中まで水没する可能性があるようです。

<慧光寺>

李庄古鎮の長江沿いの道のほぼ中心にある仏教寺院です。

特段の説明板はありませんでしたが、建築それ自体は再建された部分が多いようです。

この中心部周辺にはレストランや屋台が多数でておりますので、食事をされるには良い場所だと思います。

筆者はこの寺院の近くに「李庄白肉創始店」という看板を掲げたお店で昼食を摂りました。

<正街>

その名の通り、李庄古鎮の中心街です。
レストラン、酒屋など、多くの店が軒を連ねています。

<席子巷>

正街に入ってすぐ右手から続くのが席子巷です(右写真。クリックすると拡大します)。
手前が商店、奥が工場となっている、幅2.5m、奥行60mの小さな路地ですが、李庄古鎮の中でももっとも古い雰囲気を残す通りとなっています。

<祖師殿>

席子巷の曲がりくねった先に進むと祖師殿があります。

祖師殿は清道光13年(1833年)に天灯会という民間組織によって建設された玄武祖師を奉る四合院建築です。

清光緒31年(1905年)にこの場所を李庄鎮中心国民学校とするにあたり、建設当初の中国式門を撤去し、現在の西洋式門に作り替えました。
門の題字は消えかけていますが、よく見ると未だに李庄鎮中心国民学校の文字を見て取ることが出来ます。

戦時中は同済大学医学院がこの地に移転していました。

祖師殿の前をそのまま進むと非常に味わい深い町並みが残っていました(右写真。クリックすると拡大します)。

<劉家院>

右上写真の先にある門を抜けたところにあるのが劉家院です。

清代中期〜晩期の四合院建築で、内部も非常によく保存されています。

門に掛かる題字には家訓が書かれていると説明にありました。

<玉仏寺>

中心街の正街に戻り、2本目を左に曲がるとあるのが玉仏寺です。

敷地面積2000u、元々は福建出身者が清道光25年(1845年)に建設した媽租を奉る天上宮という祖廟でしたが、1998年に釈迦像の他、ミャンマー玉で作られた玉仏が安置されたことから、仏教寺院として現在の名前となりました。

<奎星閣>

李庄古鎮の長江沿い一番奥に建つ楼閣です。
元々は清光緒年間に建てられたものですが、文革で破壊され、現在の建物は1998年の再建です。

内部はレストランになっていました。

<南華宮>

奎星閣から長江沿いに正街へ戻る途中にあるのが南華宮です。
清末期の建築で、広東会館とも呼ばれています。
戦時中は同済大学理学院でした。

建物は、道路にある南華宮の石看板のある場所から普通の古民家の門のような場所をくぐった先にあります。


李庄古鎮は細かい路地を歩いた方が楽しい場所ですので、建物を見ながらのんびりと回ることをお勧めします。
ゆっくり歩くと2時間程度ですが、是非、途中で名物の白酒と白肉も味わってみて下さい。

最期に古鎮の地図を掲載しておきます。
(クリックすると拡大します)




(2015年2月)