大仏寺・洋人街


【黒山谷への行き方】

黒山谷は重慶市の最南端に位置する万盛区、お隣の貴州省との省境にある自然景観豊かな渓谷です。

重慶市中心部からは、G75渝黔高速(渝は重慶、黔は貴州の略称)を南へ、途中から万基高速(注:基の字は土ではなく糸)を進むこと約1.5時間ほどの万盛出口で高速を降り、そこから万盛区の中心部を抜け、山道を30分ほど上ったところにチケット売り場(左下写真)があります。

黒山谷は「北門」と「南門」の2つの入口があり、左写真のチケット売り場は北門側にあります。通常はこの北門側でチケットを購入するようですが、南門にもチケット売り場はありました。

チケット売り場で入場券(100元)と入口までのバス券(20元、何れも2013年夏時点)を購入して建物の下へと進み、右下写真の乗り場から大型バスに乗り、北門から南門入口へと運んで貰います。

このバスは満席にならなければ中国式で30分毎にしか出発しないらしく、オンシーズンであれば問題ないのでしょうが、オフシーズンに行くとここで待たされる可能性があります。

また私たちが乗車した際には、何故か後ろのバスが先に出発したりと(どうも後ろのバスは団体で満席になってしまった一方、私たちが乗ったバスは北門へ向かうスタッフを待っていた模様)、サービスのレベルにはまだまだ一定の改善の余地は感じられました。

尚、北門から南門へは15分ほど山道を進みますが、進行方向に向かって右側の席が景色が良くお勧めです。


【黒山谷内の歩き方】

南門から入場するとすぐにロープウェイ乗り場があります(乗車券30元)。
何故かロープウェイのチケット売り場は入口の外にあるので、入場券検札のところで「ロープウェイに乗る?乗るならチケット売り場は外だよ」と聞かれます。

南門から入ると基本的には下りなのですが、それでも結構な距離がありますので、乗ることをお勧めします。
尚、このロープウェイは渓谷の細い谷間に設置されている為、結構な風が吹いてゴンドラが揺られるので、それなりに恐怖を感じます。

途中はほぼ平坦ですが、ところどころには滑りやすい場所などもあるのと、総延長13kmあり、最後に電動カートに乗ったとしても相当の距離を歩きますので、歩き易い服装や靴で行かれることをお勧めします。


【黒山谷の主な風景】


黒山谷には多数の見所がありますが、そのうち幾つかをご紹介します。



【黒葉猴】

黒山谷には、生息エリア非常に狭く数も極めて少ない希少動物である黒葉猴という猿が生息しています。黒葉猴の生息地は、かつて中国中西部から南部に広く分布していたようですが、現在では広西・貴州・重慶に僅かに生息しているのみで、ここ黒山谷の生息数は僅か60〜80程度と言われています。草食で、果実、芽、茎、種などを食べます。

その名の通り全身は頬の一部白毛を除き真っ黒で体型は痩せ型、四肢は細く、頭は小さく尾が長い、体調50〜60cmという小型の猿です。運がよければ左写真のように谷間の崖を移動する姿を見ることが出来るそうですが、残念乍ら私は見ることが出来ませんでした。というよりも生息数が僅か60〜80では見られることは殆ど無いものと思います。故に左写真も百度からお借りしたものです。

黒葉猴は黒山谷のシンボルとしてマスコット・キャラクターとなっており、観光センターには右写真のような巨大な黒葉猴のマスコット・ヌイグルミが置いてありました。が、率直に言って可愛いとは言い難く、私が来た際には買っている人はみかけませんでした。


【黒山谷の歴史】

黒山谷を形成しているのはおよそ4億6千万年前に形成された石灰岩です。
武隆と同様に、石灰岩が雨水などで彫り込まれていき、美しい渓谷を象っています。
生息する樹木も原生林を保っており、生態系を観察することが出来ます。


【黒山谷で見つけた面白い看板】

黒山谷は最近非常に綺麗に整備されたようで、園内各所には立派な注意看板が多数建っており、なんと日本語表記もあります。
よくよく読んでみると、ちょっと日本語がおかしいものがあるのはご愛嬌ですが、なかなか洒落た
ものもあったので、幾つか私のお気に入りを掲載しておきます。

観光地では国を問わずによく見かける「ごみを捨てないでください」という意味の標語です。
然し、ここでは「足跡と微笑み以外残さないでください」と、何とも絶妙な言い回しになっています。
尚、中国語、日本語は同じ表現ですが(私は韓国語は読めませんので不明)、なぜか英語では「No Littering」と何の捻りもないそのままの表現となっていました。
こちらはちょっとおかしい日本語版です。
前半の「出遊一路小心」の翻訳は、「旅行中注意してね」と何故か可愛く語尾に「ね」がついています。
また後半の「平安文明」の日本語訳は、恐らく「平穏無事」と書きたかったのでしょうが「平穏無地」とちょっとおしい間違いです。尚、「平安文明」は、もう少し判り易く翻訳するとすれば「安全とマナー」だと私は思います。
「是金」は重要であることを表す比喩ですが、日本語で「金である」と書かれてしまうと、どうも「きん」ではなく「かね」と読みたくなってしまいます。
木陰にありましたので写真が暗いのですが、こちらは森の中なので火の元注意を促している看板です。
素直に「火の元注意」「火気厳禁」ではなく、「火種を消してください。あなたの愛を残してください」と、これまた面白い表現になっています。が、聊かひねりすぎている感もあります。
尚、こちらも英語はなぜか超シンプルに「NO SMOKING」となっています。
こちらも「火の元注意」「火気厳禁」の趣旨の看板ですが、とても洒落た標語で、且つ中国語は漢詩のような韻を踏んだ文章となっています。
「一つの木から、千万のマッチが作られる
一つのマッチで、千万の木が燃やされる」

なんとも深い標語で、素直に感心してしまいました。
然し、これだけ一所懸命に警鐘を鳴らしているにも関わらず、歩きタバコをしている人を多数見かけました。私もスモーカーですが、折角空気の良いところに来てタバコを吸うのももったいないですし、それ以上にやはりこういうマナーはきちんと守って欲しいものだと思います。



(2013年9月)